・フレイとオズボーンのいう削減される会計業務は、財務会計、税務会計とその監査が中心である。財務会計は、会計基準に従えば良いので、ICT化やAIの活用が容易である。会計基準にどう処理すれば良いか書いてある。その結果、ICTやAIにより、財務会計に従事していた会計業務従事者が減少したのである。本来ならば、その会計業務従事者を管理会計業務にシフトして、企業業績の向上に結び付けるべきであったが、経営者は、管理間接部門の一環として、コスト削減に結びつけてしまった。その結果、会計業務従事者は減り、求人の需要が少なくなっているので、会計を学修する人は減ってしまった。従って、企業が管理会計に注力して行けば、業績向上と会計業務従事者の価値が向上が可能であり、増えることはないが、従事者数も現状数を維持できるだろう。
(Frey.Carl Benedikt and Osborne,Midhael A.(2013)"The Future of Employment-How Susceptible are jobs to Computerisation?")
・ICTが進んで捻出した人員を財務会計から管理会計にシフトしなかったことが、会計業務従事者数を減らし、それが波及した根本的要因である。名著『レレバンスロスト: 管理会計の盛衰』でいう適合性の喪失が依然として続いており、財務会計の優位性、そして財務会計業務の削減が会計離れにつながっていった。今一度、冒頭の会計の本来の意義を確認しておきたい。(Johnson, H. Thomas and Kaplan, Robert S.(1987)“Relevance Lost -The Rise and Fall of Management” Accounting”, Harvard Business School Press.(鳥居宏史訳(1992)『レレバンス・ロスト-管理会計の盛衰』白桃書房、1992年)