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***** 第6日目(7月3日) *****

 朝食前に一人でトゥールの街をプチ散歩。市庁舎の建物がとても立派だ。トゥール駅構内には日本と違って改札口がないのでホームに出てみる。いつか外国の列車にも乗って旅をしてみたい。

トゥール市庁舎 トゥール駅

8:30出発。モン・サン・ミッシェルの手前にあるレストラン Relais St.Michel で昼食。名物というオムレツが出たが味は・・・モン・サン・ミッシェルの全景が見えるところで写真撮影をしてから、バスで麓まで行く。10世紀から13世紀にかけて築かれた僧院だが、まるで堅牢な要塞のよう。周囲90km、高さ90mの海に浮かぶ世界遺産だ。小雨が降って風が冷たいが頑張って石段を登る。参道の両側にはレストランや土産物やがずらっと並んでいてにぎやか。テラスからはノルマンディの海や遠くの街まで見渡せる。

モン・サン・ミッシェル(パンフレットより) 木造の屋根の回廊が中庭を取り囲む

 夕方ドーヴィルHOTEL NORMANDY に到着。昔映画「男と女」の舞台になったホテルで、ラウンジなどとても豪華だ。今日は550kmもの長距離ドライヴで運転手のミシェールさんもさすがに疲れたようだ。ホテルのダイニング La Belle Epoque で夕食。素敵なレストランで料理もおいしかったが、冷房がなくてとても暑い。

***** 第7日目(7月4日) *****

 小雨に煙るドーヴィルの街を早朝散歩。白い壁に黒い木組みの云え、花壇の花々が雨に濡れて美しい。

ホテル・ノルマンディ 浜辺側から見たホテル・ノルマンディ

 今日の最初の観光地オンフルールに到着した時にはついに土砂降りの雨。それぞれ自由に観光することになったが、主人はバスに残ってしまったので一人で大雨の中を歩く。14世紀に船大工たちによって建造された木造のサント・カトリーヌ教会が珍しくてしばらく佇む。港まで行ってみるとたくさんのヨットが停泊している。この街で生まれた画家ウジェーヌ・ブーダンの影響でモネやセザンヌがここで制作に励んだという。確かに晴れていれば素晴らしい景色だろうと想像するばかり。

 昼食後 ジヴェルニー到着するころには晴れ上がってモネの庭園をゆっくり楽しむことができた。1ヘクタール以上あると云う広大な庭園で、実に様々な花が咲き乱れ、雨上がりの緑が目に染むように鮮やかだ。睡蓮の池はモネの絵で見たままで、ちょうど薄紅の睡蓮が咲いていて夢のように美しい。モネが40年以上過ごした邸宅には広重や北斎、歌麿などの素晴らしい浮世絵が所狭しと飾られている。また広いサロンの壁一面にモネの描いた絵画の複製が掛けられていて壮観。大きな売店があったが色々な国からの観光客で混雑していて買い物が難しいくらいだ。

睡蓮の池 モネの家

 5時頃いよいよパリ到着。添乗員さんがバスの中から簡単なガイドをしてくれる。凱旋門、シャンゼリゼ通り、コンコルド広場など今まで映画ではおなじみの景色に見とれる。 HOTEL LOTTI はチュイルリー公園のそばにあって観光に便利そうだ。一休みしてバスで夕食に出かける。並木道が整然と広がっていてとてもきれいな街だ。

***** 第8日目(7月5日) *****

 いつものように一人で早朝散歩。ヴァンドーム広場にあるリッツホテルの前を通ってオペラ・ガルニエへ。緑色の屋根に金色の飾りのコントラストが鮮やかで美しい。壁面の彫刻が素晴らしい。ミュージカル「オペラ座の怪人」はここが舞台になっている。
マドレーヌ教会はコリント様式の列柱に囲まれて、教会というよりギリシア神殿のようだ。ルネ・ラリックの店が入っているパサージュを覗きコンコルド広場に出てホテルに戻る。

オペラ・ガルニエ マドレーヌ教会

 9時市内観光に出発。まずコンコルド広場。フランス革命の舞台になった広場でルイ16世やマリー・アントワネットがここで処刑された。パリ祭の準備のため工事中でちょっと落ち着かないけれど、ここから凱旋門を望むシャンゼリゼ通りはまさにパリという感じ。次にシャイヨー宮からエッフェル塔を眺める。塔の足元は美しい庭園になっており、遠くにロダン美術館の金色の屋根などが見えて素敵な眺めだ。。

エッフェル塔 コンコルド広場
凱旋門

パリ市街の建物の説明を聞きながらノートルダム寺院へ。世界各国からの観光客でいっぱいだ。有名なバラ窓のステンドグラスや字を読めない人たちのために聖書を分かりやすく描いた絵画など見て廻る。この寺院は正面からより裏側の方が雰囲気があって印象深い。

ノートルダム寺院

 久しぶりに和食の昼食後自由行動になる。まずオルセー美術館へ。美術館前の広場には大道芸人がいたり、ジャズを演奏するグループがいたりとにぎやか。建物は1900年のパリ万博のために造られたオルセー駅を改修したもので外壁の大きな時計が時を刻んでいる。ガラスと鉄骨で出来たアーチ状の屋根やプラットホームなど駅舎の面影を残す建物自体が素晴らしい。モネやルノアール、ゴッホなどの絵を見て廻る。日本でお目にかかった絵画もたくさんある。テラスからはセーヌ川をはさんでルーブル美術館がよく見える。

オルセー美術館

 主人は疲れたと云ってホテルに戻ったので一人歩きを楽しむ。荻野アンナのエッセイで読んでいた「パサージュ」を探す。地図とにらめっこでギャルリー・ヴィヴィエンヌにたどり着く。天井のステンドグラスが落ち着いた色合いで、おしゃれなブティックやカフェ、歴史のありそうな本屋などが入っていていかにもシックでパリらしい雰囲気だ。日本人の若い女性がやはり一人でガイドブックを片手に来ていて、同好の士として少し話をする。

ギャルリー・ヴィヴィエンヌ

 夕食はホテルから歩いて5分くらいの素敵なレストランでとてもおいしかったが店名をメモするのを忘れていた。フランス最後の夜が静かに更けていく。

***** 第9日目(7月6日) *****

 この旅行最後の早朝散歩に出かける。チュイルリー公園を横切ってセーヌ川を眺めルーブル美術館へ。途中で朝日に輝くオルセー美術館が見える。ルーブル美術館の中庭には信号もあって車がどんどん走っている。朝早いのでさすがに歩いている人はニ、三人しかいない。素晴らしい彫刻の施された建物の大きさに圧倒される。ガラスのピラミッドは想像していたほど大きくはない。

ルーブル美術館

 コメディ・フランセーズの前にはたくさんのポスターが貼られている。パレ・ロワイヤルを少し歩いてホテルに戻る。主人も起きてきたのでゆっくり朝食を取ってから二人でオペラ・ガルニエまで歩く。

13:20発予定の British Midland 176便が約1時間遅れて離陸。ロンドンでの乗り継ぎがあわただしい。
15:45 BA 007便でロンドン発、帰国の途へ。

***** 第10日目(7月7日) *****

 11:30 成田着。南仏からパリまで合計すると千数百キロ移動したが、車窓には豊かな穀倉地帯が広がり、フランスが農業国であることを再確認した。またその地方地方で異なった魅力を楽しむことが出来て有意義な旅になったと思う。

(終り)