スワンプ・ロック (20枚)
 
 


 アメリカ南部、オクラホマを中心に1970年代初頭に誕生したスワンプロック。デラニー&ボニーやレオンラッセルを中心に始まったが、その影響は、現地ミュージシャンだけでなく、ジョーコッカーやクラプトンといった英国ミュージシャンへも波及した。らしい。

『Original Delaney and Bonnie』 (1969年)
 Delaney and Bonnie
(デラニー&ボニー)

 ことの始まりはコレ。これでクラプトンがやられ、アメリカ回帰、ツアーに同行し、ソロへと繋がった。当時はBlindFaithに在籍してた時代ということもあり、ルーツに根ざしたブルースロックなどが目立つ。

『Eric Clapton』 (1970年)
 Eric Clapton(エリック・クラプトン)

 デラニー&ボニーとのツアーでアメリカ音楽に目覚めたクラプトンが初のソロ作品、ブルースロックをベースに「歌モノ」に真剣に取り組みはじめた。

『Leon Russel』 (1970年)
  Leon Russel(レオン・ラッセル)

 60年代は優秀なサポート・ミュージシャンとして活躍し、60年代後期から70年代初期にかけてスワンプロックのアジテータでもあった彼の1stソロ。雰囲気たっぷりのダミ声、南部ロックに対する愛着、抜群のセンスの良さが光る名盤。
『Marc Benno』 (1970年)
  Marc Benno(マーク・ベノ)

 マークベノの作品では、個人的には一番好きなアルバム。決して、べらぼうに上手いわけでもない歌なのに、聞けば聞くほど味のでる、いわゆる”するめ”モノ。
『Motel Shot』 (1971年)
 Delaney and Bonnie

  デラニー・ブラムレットが彼の仲間(デュアン・オールマン、)とアコースティック楽器を中心に、当時の音楽をとことん楽しんで録音している。最近では”元祖アンプラグド”と評されているだけあり、リラックスした雰囲気の演奏が楽しめる好盤。
『Jesse Davis(ジェシ・デイビスの世界)』 (1971年)
 Jesse Davis

  彼もまた早くしてこの世を去るが、そのスライドギターの腕前はもちろん、ドライで優しい歌声にはまたファンが多い。名曲「ロックン・ロール・ジプシー」(ロジャー・ティリソン作)を聞くだけでも価値がある。
『Minnows(雑魚)』 (1971年)
 Marc Benno(マーク・ベノ)

 伝説的ともいえるマーク・ベノの1stであり名盤。ゆるさ加減バツグンのR&Bナンバーからカントリー調まで、Jesse Davis、Clearance Whiteなどのバックアップで豪華な作品が満載。

『L.A. Getaway』 (1971年)
  Joel Scott Hill, John Barbata, Chris Ethridge

 ”名盤探検隊”でCD化されたスワンプの名盤。参加メンバーはドクター・ジョン、レオン・ラッセル、ブッカー・T、クラレンス・ホワイト、などなどの南部サウンドを支える職人達。ジャケ買いしそうなくらい渋いアルバム・ジャケットだが、中身ももれなくカッコイイ曲が並ぶ。ほんと大傑作!

『Roger Tillison's Album』 (1971年)
  Roger Tillison(ロジャー・ティリソン)

 当初はリヴォン・ヘルムのプロデュース、ウッドストック録音のはずが、結局ジェシ・デイビスのプロデュースの元、ロスで録音された。しかし曲には、ディラン、ザ・バンドの”ビッグ・ピンク”録音の曲が含まれ、スワンプロック/ウッドストックという枠を超えた名作。この作品以後、30年近く沈黙を続ける。

『Daniel Moore』 (1971年)
 Daniel Moore(ダニエル・ムーア)

 この1枚しか残していないのに、スワンプというとこの作品は必ず取り上げられる。というくらい名盤。この時代は、ロジャー・ティリソンなど、一発屋の名作が多い。レコードは中古屋でもなかなか入手できないが、今はCD化されている(らしい)。

『Mother Earth』 (1972年)
 Tracy Nelson(トレイシー・ネルソン)

 癒し系。マリアマルダー同様に、「昔はずいぶんスリムでした」という彼女の72年の作品。エリック・ジャスティン・カズ、ボビー・チャールズ、ジョン・ハイアットなどの作品をゆったりと歌い上げる。

『The Train I'm On』 (1972年)
 Tony Joe White(トニー・ジョー・ホワイト)

 初めて聞く人は、その渋い声にいきなりやられるだろう。楽器編成はムダなくシンプル、ワイルドで荒削りな中低音を活かしたギターのカッティング、タイトでファンキーなリズム、、やさぐれた男のロック&ソウルを聞かせてくれる名盤。

『Willis Alan Ramsey』 (1972年)
  Willis Alan Ramsey(ウィリス・アラン・ラムジー)

 シェルター・レーベルから1枚だけ(たぶん)しか発表しなかったウィリス・アラン・ラムジー。レオンラッセル、ジム・ケルトナーのサポートは当然、予想できるが、ニック・デ・カロが登場してしまうあたりは、購入欲をそそること間違いなし。

『Hungry Chuck』 (1972年)
 Hungry Chuck

 エイモス・ギャレットが所属したことをよく取り上げられる名盤(CDにはなっていないらしい)。ベン・キースもこのメンバーだったというから、カントリーでスワンプなサウンドは当然強い。こういう名作はやっぱり、Bearsvilleレーベルなのですね。ウッドストック系というくくりとしても、よく取り上げられる。

『Prone To Lean』 (1974年)
 Donnie Fritts(ドニー・フリッツ)

  ダンペンと共に伝説化しているドニー・フリッツの名盤。Dan PennやTonyJoeWhiteら盟友との共作もあり、楽しめる1枚。「Sumpin' Funky Going On」の間奏で展開されるTony Joe White(T)が乱入し、Donnie Fritt(D)の駆け引きにもニヤけてしまう。

『Petaluma』 (1973年)
  Norman Greenbaum(ノーマン・グリーンバウム)

 ヒッピー・チルドレンとしても知られていたノーマン・グリーンバームの代表作。自宅録音というだけあって、リラックスした、ダウン・トゥ・アースなサウンドを、ライ・クーダーらのサポートが豪華に仕上げている。

『Home At Last』 (1974年)
  Wayne Berry(ウェイン・ベリー)

 ウェイン・ベリーの74年の作品。ジャクソンブラウン、ジェシ・デイビス、ネッド・ドヒニーといった西海岸ミュージシャンがサウンドを支え、録音はマスルショールズにナッシュヴィルというから気合いが入ってる。もちろん中身もアーシー&アットホームで、落ち着いた大人のロックを楽しめる。

『Old No1』(1975年)
  Guy Clark(ガイ・クラーク)

 ジェリー・ジェフ・ウォーカーの流れから中古レコード屋で入手したガイ・クラークの1st。ジャケ買い&壁に飾りたくなる渋いジャケットだけでも価値が高いが、中身も素晴らしい。この絶妙な間のサウンド、渋さに惚れ込んだ人は多い(はず)。
『No Reason To Cry』 (1976年)
 Eric Clapton(エリック・クラプトン)

 70年代は名作揃いでもあり、またそれぞれ特色が全く違うクラプトンの作品だが、デラボニ以降、ザ・バンドも含めた南部サウンドに影響を受けまくったクラプトンが、その”溜まった”ものを注ぎ込んだ作品。リック・ダンコ、リチャード・マニュエル、ロビー・ロバートソン、ロン・ウッドにディランと豪華なメンバーとセッションのように、リラックスして歌い、弾いている。70年代ソロ作品では、『461』と並んで好きな作品。
『Do Right Man』 (1994年)
 Dan Penn(ダン・ペン)

 Al Green、Ry Cooderで世に知れた名曲「Dark End of The Street」の作曲者でもあるダン・ペンの名作。大人のスワンプ、ホワイト・ソウル/カントリー・ソウルを聞かせる渋〜い1枚。ゆるいテンポに、甘く太めの声が絡む。

 
 
All copyright reserved by N.Ichihara since 2005
 

On The Border