ウッドストック・サウンド (20枚)
 
 


 ニューヨークをさらに北上し、山々に囲まれた閉鎖的な地域、ウッドストックでなぜあれほど魅力的なサウンドが生まれたんだろう。 しなやかな草花のゆらぎ、優しい木々の軋み(きしみ)、おだやかな空気、母性的な土の臭いの中で音楽は意図して作られたというよりも、必然として生まれ落ちたのかもしれない。

『The Basement Tapes(地下室)』 (1975年
 Bob Dylan and The Band
 (ボブ・ディラン&ザ・バンド)

 ビッグピンクという伝説の小屋で作られたヴァーチャル・民族音楽”のような多彩なルール・ミュージック集。 実際には150曲以上ストックがあったというし、ザ・バンドのサウンドもほぼ確立している。 ※発表は1975年だが録音は1967年。
『Dream A Little Dream』 (1968年)
 Mama Cas(ママ・キャス)

 西海岸で活躍したママス&パパスの”Big Fats Mama”の、ふくよかで表現力豊かな歌を聴かせるソロ作品。効果音が駆使されるあたり時代性を感じる。ジョン・サイモンがプロデュース、ジョン・セバスチャン、スティーヴン・スティルスらが参加。
『Music From Big Pink』 (1968年)
 The Band(ザ・バンド)

  これぞ”ビッグピンク・サウンド”といえるザ・バンドの結晶的アルバム。ロックンロールやリズム&ブルースの基本を、バンド全員が毛穴1つ1つで理解し、体現している。
『John Simon's Album』 (1970年)
 John Simon(ジョン・サイモン)

 名プロデューサの1stソロ。ザ・バンド連中はもちろん、ジョン・ホール、レオン・ラッセル、ジムゴードン、デラニー・ブラムレットらが参加!ウッドストックからマッスル・ショールズまでかけまわって完成した名盤。

『Jesse Winchester』 (1970年)
 Jesse Winchester(ジェシ・シンチェスター)

60年代はロニー・ホーキンスのバッキング(ギター)をしていたというキャリアの彼が、ヴェトナム戦争に行かず、ロビー・ロバートソンとカナダで録音したというアルバム。ザ・バンドの仲間が演奏し、ベアズヴィルからの名盤。

『Pottery Pie(ポテリー・パイ)』 (1970年)
 Goeff and Maria Mulder(ジェフ&マリア・マルダー)

 ジム・クウェスキン・ジャグ・バンドを経て公私ともに結ばれたマルダー夫婦の名盤。嫉妬するほど二人の愛がたっぷり注がれた、甘いサウンドとヴォーカル!夫婦解消済みの今でも彼らの音楽は魅力たっぷり。
『Cahoots(カフーツ)』 (1971年)
 The Band(ザ・バンド)

 「Life Is A Carvival」(アラントゥーサン参加)はもちろん、4作目としての決意みなぎる挑戦の数々が注がれたザ・バンドの本領発揮の作品。初のベアズヴィル・スタジオでの録音。
『Pacheco and Alexander』 (1971年)
 Pacheco and Alexander
 (パチェコ&アレキサンダー)

 若きし時代のトム・パチェコのデュオ盤。プロデューサがジョンホール、演奏もジョン・サイモンをはじめ、グレイト・スペックルド・バードなどのウッドストック人脈で固められている。フォーキーさが際だつ名作。
『Bobby Charles』 (1972年)
 Bobby Charles(ボビー・チャールズ)

 ウッドストック周辺ミュージシャンが結集して作られた名盤。カントリー、R&B、ゴスペルをゆるやかに束ね、のどかで落ち着いた歌声で包み込む。ウッドストックの定番ソング「Small Town Talk」やら、エイモスの絶妙な”間”のプレイに癒される。

『Sweet Potato(スウィート・ポテト)』 (1972年)
 Goeff and Maria Mulder(ジェフ&マリア・マルダー)

 夫婦競演としては2作目であり最後の作品。相変わらず彼らの趣味であるオールド・ジャズ、ブルース、ヒルビリーなどのアメリカン・ルーツ・ミュージックを、エイモスのギター、ポール・バターフィールドのハープ、ビル・キースのペダル・スチールが彩る。特に、ビリーホリディの「ラバーマン」を歌うマリア・マルダーには心底うっとりする。

『2nd Right, 3rd Row』 (1972年)
 Eric Von Schmidt(エリック・ヴォン・シュミト)

 ジム・ルーニー、ジェフ&マリア・マルダー、エイモス、ポールバターフィールドがらが参加した裏名盤!ジャズ、カントリー、ブルースが調和したウッドストックの森の香りがしそうなグッド・タイム・ミュージック集。

『Don't It Drag On』 (1972年)
 Chris Smither(クリス・スミザー)

 Blind Willie McTellといったカントリーブルースのカバーから、ストーンズ、デッドといったロックナンバーのカバーまでを、独特の歌声で聞かせる。エリックジャスティンカズ、ベンキース、ボニーレイット、マリアマルダー、ハッピートラウムなどのウッドストック人脈のミュージシャンが名サポート!

『Moondog Machinee』 (1973年)
 The Band(ザ・バンド)

 これを聴かずにザ・バンドは語れない!というカバーアルバム。ロックンロール、リズム&ブルースなどのアメリカの中心的音楽をこんなにかっちょいい、おやじくさく演奏できるのは、後にも先にもザ・バンドだけだと思う。死ぬまでにこんな演奏ができるようになりたい・・。
『Dance With Me』 (1974年)
 The Orleans (オーリアンズ)

  幻とも言われたウッドストック産の2nd(録音はベアズヴィル・スタジオ)。南部ロック、ニューオリンズR&Bを意識したファンキーで泥くさいリズムは、彼らの思い入れの強さを感じる。
『Woodstock Album』 (1975年)
 Muddy Waters (マディ・ウォーターズ)

 マディ・ウォーターズのブルースにポール・バターフィールドのハーモニカ、ガース・ハドソンのアコーディオン、リヴォン・ヘルムのドラムが追従する。みんなの”兄貴”を慕って、豪華メンバーがウッドストックに集まって録音された貴重な記録集でもあり、師弟の絆を感じる名盤。
  『Levon Helm and RCO All Stars』 (1977年)
 Levon Helm and RCO All Stars
 (リヴォン・ヘルム&RCOオールスターズ)

 スティーヴ・クロッパー、ドナルド・ダックダン、マック・レベナック(Dr.John)、ポール・バターフィールド、ガースハドソンらRCOオールスターズとリヴォン・ヘルムが楽しみまくって作ったとしか思えない名作。R&B、ブルースをベースにした南部ロック、ウッドストックサウンドが堪能できる。
『Woodstock Mountain Review』 (1977年)
  Mad Acre(マッド・エーカー)

 ハッピー&アーティ・トラウム兄弟、ポール・バターフィールド、ジョン・セバスチャンが参加したウッドストックサウンドの大名盤!
ヒルビリー、ブルーグラス、マウンテン・ミュージックなどの伝統的音楽やジミーロジャースのカバー曲からオリジナルまで多彩。最後にジョン・セバスチャンがハーモニカ1本で吹く「Amazing Grace」は圧巻。  
  『Geoff and Amos(ジェフ&エイモス)』 (1978年)
 Geoff Mulder and Amos Garret
 (ジェフ・マルダー&エイモス・ギャレット)

 名コンビ、エイモス&ジェフによる作品。ウッドストック系のアルバムの中でも3本の指に入るというくらいの大名盤!太くて甘いジェフの歌声に、エイモスの星屑ギターがクルクルッと絡まりつくと、魔法のようなルーツ・ミュージック・サウンドの世界から抜けられなくなる。
『Live In Japan』 (1979年)
 Geoff Mulder and Amos Garret
 (ジェフ・マルダー&エイモス・ギャレット)

 エイモス&ジェフの日本公演(しかも新宿ロフト!)を収めたライブ盤。1曲目の「SLOPPY DRUNK」からすっかりやられます。もちろん「Brazil」や「香港ブルース」などのジェフ&マリアマルダーやエイモスソロ名義の曲も遠慮なく演奏され、「その場にいたかった!!」と嫉妬さえしてしまう。ぜひとも今度は2人で日本に来て欲しい!現在は、Dreamsville にてCDが発売されている。
  『Password』 (2000年)
 Geoff Mulder(ジェフ・マルダー)

 9年に『Secret Handshake』で久々に元気な姿、声を発表したジェフの復活第2弾。相変わらずのアメリカン・ルーツ・ミュージックを惜しみなく演奏、唄いまくる!年齢を重ねた分の深みはもちろん、ますますルーツ音楽への探求心・好奇心を表に出してくれてるのが何よりも嬉しい。

 
 
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