トランク付きエレベーター

 マンションのエレベーターは、急病人を寝た状態で搬送できる構造になっています。ご存じでなかった方は記憶しておくと役立つことがあるかも知れません。かごの奥の正面下部に観音開きの扉があります。この扉の奥に小さなトランクルームがあります。下の写真のように急病人を担架やストレッチャーを用いて運搬するためのものです。このトランクの扉の鍵は通常、管理員室に保管されています。管理員が不在の日曜日や夜間は解錠することができません。以前、この鍵はエレベーターメーカーによってバラバラでした。
 そこで、全国消防長会では「居住者の高齢化と救急搬送の増加を背景として、急病人に適した体位で搬送するにはエレベーターを有効に活用できるか否かが急病人の救助を左右する」ことを訴え、日本エレベータ協会へ「トランク付エレベーターのトランク扉の鍵の統一等に関する要望書」を平成14年に提出しました。日本エレベータ協会では「トランク扉の鍵の統一に関するお知らせ」を頒布し鍵を統一することにしました。そして、119番の救急車の救急隊が現場に到着した時に、救急車が所持する鍵で解錠できるようになりました。共通鍵の識別できるように、統一された鍵には「EMTR」(Emergency Medical Trunk Room)という英字が刻印されています。
 新設マンションについては、平成15年10月以降のエレベーター竣工のものから統一鍵に切り替えられていますが、それ以前のエレベーターについては、鍵交換の強制力がなく、管理組合へ有償での取替依頼に留まっています。お住まいのマンションの鍵をチェックして「EMTR」の刻印がない場合は交換が必要です。統一鍵への交換は、市内の鍵業者では取り扱っておらず各エレベーター会社に交換依頼が必要です。取替費用は4万円程度のようです。
 エレベーターのない階段室型マンションや地震災害時にエレベーターが使用できず、急病人を階段から搬出する場合はどのような方法があるのかは次回のテーマーです。
救急隊が使用する急病人を運搬するストレッチャー
 
ストレッチャーをエレベーターに乗せた状態
 
かごの正面下部
 
保護シートを外すとトランクの扉が現れる
 
鍵で扉を開けるとトランクがある
 
統一された鍵には「EMTR」と刻印されている
                                      平成23年1月19日 文責 原野