1996年5月28日から6月3日にかけてスペインのマドリッドとバルセロナを巡るツアーに参加しました。

* * * 第1日目 (5月28日)* * *

 成田空港11:00 British Airways 006 便でロンドンに向け出発。
私にとって初めてのヨーロッパなので期待に胸が膨らむ。殆ど眠れないし、窓際の席に座れたので読書をしたり、窓の外を眺めたりして約12時間を過ごす。眼下に広がるシベリアの大雪原に深く感動。スチュアーデスの説明でデンマークもしっかり確認できた。
 15:30 ロンドン ヒースロー空港到着。バスでターミナルを移動して19:00 BA462便でスペインに向かう。
 22:15 マドリッド到着。入国手続きなどスムーズにいって11:30には PLAZA HOTEL にチェックイン。

* * * 第2日目 (5月29日)* * *

 9:00 市内観光に出発。現地のガイド 清瀬さんの説明を聞きながらシべーレス広場、プエルタ・デル・ソル(日本の日本橋にあたる)etc をバスの窓から見物してプラド美術館へ。真っ青な空に木々の緑が映えて素晴らしい眺めだ。カラッとした風が爽やかでとても気持ちいい。ヨーロッパの初夏の素晴らしさを体感する。
プラド美術館は緑に包まれた新古典様式の立派な建物だ。ちょうどゴヤ生誕250年記念の「ゴヤ展」が開かれていてたくさんの人でにぎわっている。

美術館のパンフレット 南門にあるゴヤ像


 有名なゴヤの「二つのマハ(着衣と裸)」、ベラスケスがマルガリータ王女を中心にして描いた「女官たち」、エルグレコの「聖三位一体」などの宗教画 etc. etc.素晴らしい絵画を堪能する。
宿泊しているホテルの真ん前にあるスペイン広場でセルバンテスの像をバックに写真を撮った後解散。
主人と二人でガイドブック片手に地下鉄に乗り、またプエルタ・デル・ソルに行く。マヨール通りを歩いて「オガール・ガリェゴ」でランチ。緑に覆われた素敵なレストランで日本語のメニューもあったけれど、残念ながら料理は期待外れ。ものすごく量が多くて塩からい。
 素晴らしい青空のもと気温はぐんぐん上がって街の温度計はなんと 41℃!でも湿度が低いので日蔭はさらっとして涼しい。
 王宮はまばゆいばかりに豪華絢爛で、こんな所に住んでいたら神経が疲れてしまうのではないかなどといらぬ心配をしてしまったが、実際には国王夫妻は別の場所で暮らしているとのことだった。
まるで別世界にいるような調度品をただひたすら溜息をつきつつ見て回って外に出ると、公園の緑が目に優しい。

セルバンテスとドン・キホーテの像 王宮(パンフレットより)

 「東京太郎」で夕食を取り、「トーレス・ベルミヤス」にフラメンコを見に行く。若い娘さんは惚れ惚れするくらいきれいでスタイルもいいけれど、主役級は少し老けている。哀調を帯びた歌声とギター、踏み鳴らす靴音の刻むリズムを堪能する。真打ち(?)は真夜中過ぎから登場するとのことだったけれど、残念ながら歌の意味が全く分からないのでショーの途中で切り上げてホテルに戻る。

* * * 第3日目 (5月30日)* * *

 午前中は自由行動なので、地下鉄でプエルタ・デル・ソルに行く。今日も抜けるような青空が広がっている。
スペインで一番大きいデパートチェーンのエル・コルテ・イングレスはいくつかの建物に分かれていてブティックなどが入っている。ショーウィンドウを眺めながらグランピア通りを通ってシべーレス広場に出る。銀行や郵便局などの建物が彫刻で飾られた素晴らしいものだ。広場の中心に2頭のライオンに引かれた大地の女神しべーレスの噴水がある。

シべーレス広場
後ろの建物は中央郵便局です!
2007年にマドリッド市役所になったとのこと。

 かなり歩いたので地下鉄を乗り換えて(こんなちょっとしたことが外国ではうれしい)ホテルに戻り昼食。
2時からバスでトレドへ。マドリッドの街中を抜けてオリーブとアマポーラの咲く原っぱの中の道をドライブ。
 タホ川を隔てた小高い丘からトレドの町を眺める。本当に素晴らしい景色だ。かつてスペインの首都だったという中世の都市がそのまま残って人々が生活している。

タホ川の対岸からの眺め

 カテドラルは薄暗く、涼しくて荘厳な感じが漂っている。ため息の出るような美術品、宝石、絵画etc.etc. ただうっとりと見て回る。スピーカーを上手にめぐらしていて、アルビノーニのアダージョが静かに流れて雰囲気作りも上手だ。ステンドグラスの素晴らしさ、法王たちのまとうマントの豪華さ、口をポカンと開けて見とれている間に約1時間があっという間に過ぎてしまう。

カテドラル オルガス伯の埋葬

 サント・トメ教会ではエル・グレコの「オルガス伯の埋葬」を見る。グレコ本人と息子だけがこちらに視線を向けている。グレコはギリシアのクレタ島出身でトレドに移り住んだので「ギリシア人」という意味のエル・グレコと呼ばれたという。
 狭い石畳の路地の両側に土産物屋、カフェ、レストランなどが立ち並び、たくさんの人々が行き交っている中を車まで走り回っている。迷路のような坂道を日本人の団体がたくさん歩いていて大阪弁など聞こえてくる。
 トレドの町に心を残しながらバスで象嵌細工の工房へ。作り方を見学してから店の品物を見て回ると、ピンからキリまであって手の込んだ良いものは高いというのが納得できる。
 夕方のラッシュに引っ掛かってマドリッドには7時半ごろ帰りつく。

* * * 第4日目 (5月31日)* * *

 9時にバルセロナ行の飛行機に乗り込んだが、離陸したのはなんと10時過ぎ!きっとスペイン時間なのだろう。約1時間のフライトでバルセロナ到着。
 バスの中から闘牛場、カタルーニャ美術館など眺める。モンジュイックの丘でオリンピック競技場を見物する。1992年に夏季オリンピックが開催された場所でいまでは公園になっている。ここカタルーニャ自治州はスペインの中でも独特の文化や言語を持っていて、バルセロナオリンピックにスペイン国王を招待するかどうか議論したという話だが、日本人には考えられないことだ。展望台からバルセロナの街や地中海が一望できる。

 グランビア通りを通ってグエル公園へ。天才建築家アントニ・ガウディが計画した分譲地だったが、たった2軒しか売れずに公園になったとのこと。風変わりな色と形があふれた楽しい公園だ。ギネスブックに載っているというくねくねと長く続いたカラフルなタイル張りのベンチに座って街を見下ろすと、いかにも外国にいると実感する。

グエル公園


 今日も抜けるような青空が広がって暑いが、風はとてもさわやかだ。
一番の繁華街ランブラス通りのレストランでランチ。パエリア、サラダなどみんなおいしくて満足。この数日行動を共にしているのでツアー仲間とも打ち解けて来て話がはずみ楽しい。

 サグラダ・ファミリア(聖家族教会)はガウディが建築を始めて100年以上たつのに、まだ半分くらいしか出来てなく、完成はいつのことか分からないという。日本では考えられない気の長い話だ。工事中でもエレベーターなどあってちゃんと観光客を受け入れている。ステンドクラスの青が神々しいまでに美しい。聖書を建物に表しているらしいけれど不勉強でよく分からない。とにかく不思議な雰囲気の建物だ。

サグラダ・ファミリア(絵葉書)
「教会」という言葉から思い浮かべる姿とは遠くかけ離れた外観
サグラダ・ファミリアの内部

 バスで移動してバルセロネータの美しいビーチへ。ヨットハーバーには素敵なヨットがたくさん停泊しているし、5月というのにもう泳いでいる人もいる。

夕方Hotel Barcelona Santsに到着。近代的なアメリカンスタイルのホテルで部屋が広く快適。

* * * 第5日目 (6月1日)* * *

 ホテルが国鉄と地下鉄の駅の真上にあるので、朝早く起きて駅構内を一人で探検する。言葉も全く分からないのにカフェテリアでコーヒーを飲みながら周りを眺めていると、スペインの普通の生活に自分も溶け込んでいるようで楽しい。
 今日は一日フリーなので豪華なアメリカン・ブレックファストをゆっくり味わってから地下鉄で出かける。地下鉄の「出口」がマドリッドでは[Salida]だったのがここバルセロナでは[Soltida]とカタルーニャ語になっている。パラ・レル駅で降りてケーブルカーでモンジュイックの丘に上り、ゴンドラに乗り換えモンジュイック城まで登る。バルセロナの街や山並み、港が見渡せて素晴らしい眺めだ。

バルセロナの街


 街に戻りサン・ジョセップ市場を見物する。実に様々な食べ物を売っていて、肉や野菜は日本に比べるととても安い。生ハムの巨大な塊がたくさんぶら下がっていたり、トマトの種類が多いのにびっくりする。
 カテドラルまで歩いて行くと土曜日のせいか人出が多い。カテドラルは500年以上も前の建築とのことで、くすんで歴史の重みを感じさせる重厚な建物だ。薄暗い内部はろうそくの明かりとステンドグラスが独特の雰囲気をたたえていて、クリスチャンでもない私でも思わす祈りを捧げたくなる。

重々しいカテドラル ライトアップされたカテドラル


 「ポム」というレストランで昼食を取り、本屋ばかり両側に並んだグラシア通りをぶらついて、ガウディの建てたカサ・ミラをゆっくり眺める。壁面が波のような曲線を描き屋上には変な彫刻が立っている。個人住宅とのことだがどんな住み心地なのだろうか。

カサ・ミラ


 ホテルに戻って一休みし、夕食はツアー参加者全員が集まってさよならパーティ。

* * * 第6日目 (6月2日)* * *

 BA 479便 バルセロナ発10:30 ロンドン着14:35
 BA 007便 ロンドン発17:30(予定より1時間遅れ)で帰国の途へ。

* * * 第7日目 (6月3日)* * *

 12時頃成田着。主人がまだ現役のため5泊7日というあわただしいスケジュールだったが、初めてのヨーロッパは想像していた以上の素敵な思い出作りの旅になった。
 

(終わり)