足ベルトの思い出 やっぱり、書いておこう。
むかしむかし、ある所にレッグベルトをロックし忘れて、テイクオフしてしまった愚か者がいました。
足が地面を離れた。一瞬後、「ずるっ」という感触と、「しまった!」という認識が襲う。
気がつくと、ハーネスのサイドベルトに、両脇で引っかかって、座板は腰より上、チェストベルトがヘルメットのフェイスガードに引っかかって、ヘルメットをずり上げ視界をふさぎ、あご紐が首を絞めつける。
ハーネスにぶら下がりながら、何とかブレークをコントロールをして、ランディングをめざそうとするが、運悪くサーマルにあたって、逃げても逃げてもバリオが鳴り続ける。
そうこうするうちにも、両脇で血流をせき止められた腕は、指先から痺れはじめ、どんどん感覚を失っていく。
少しでも長い間、ずり落ちないでいるために、コントロールをあきらめ手を胸の前で組みあわせ腕の力を温存する。
冬用手袋の中で、指がどう曲がっているのかすらわからなくなり口を使って手袋をぬぎ落とす。
時々、ヘルメットの隙間から飛行方向を確認し、高速道路と高圧電線だけは避けるように、体重移動する。
テイクオフから3km程流されて、ツリーラン。
フライトタイムは10分程か。
あと5分はもっても、もう10分あれば落ちていただろう。
反省:
やっぱり、思うんですが、毎週毎週飛んでいたので、パラグライダーでフライトすることが
「日常行為」になっていたのが原因でした。
レッグベルトをとめることなんて、日常生活でいえば、車のシートベルトを締めるようなもんです。
その程度の注意しか、レッグベルトに払っていなかったわけです。
シートベルトは忘れても、いきなり生死に関わることはほとんどありませんが、
パラの装備で、何かを間違えることは、直接命に関わります。
やっぱり、パラは非日常的な行為であり、非日常的な細心の注意を払って、装備のチェック等
行う必要があります。
初飛びの日、ドキドキしながら、何度も何度も、カラビナやラインを確認したように。