マイクロエース車のモーター換装と動力台車のメンテナンス

マイクロエース車は某掲示板では「組立完成済キット」と言われる原因として
動力系(特にモーターと粗悪なグリス)が非常に残念な仕様になっている。

そこで、
フライホイール未搭載車両についてはTOMIX製のモーターが移植できるため、
これを使ってスロー性能および信頼性の向上と、粗悪なグリスを拭き取って
再度セラミックグリスの塗布を行う工程を紹介します。

★ご注意★
これはあくまでも「自己流の方法」です、これを見た方で良くご存じの方は言いたいこともあるかと思いますが
その辺の考えは人それぞれなのであまり気にしないでください。
また、車両の分解を行いますと基本的にメーカー保証が受けられなくなります。
さらには技量によっては分解後元に戻せなくなる可能性もございます。
当方はその辺の責任は一切負いませんので、自信の無い方はジャンク品等を入手して練習するなりして
まずはウデを磨いてからトライしてください。

まずは分解。

ボディと下回りを分離し、カプラーは外しておきます。
画像はTNカプラーですが、アーノルドの方も作業中に破損する可能性がありますので、この時点で台車からカプラーを外しておく事をお勧めします。
床下部分と座席を分離します。

画像の通り、ツメで留っていますので座席側のパーツを起こすように精密ドライバーでこじります。この際精密ドライバーはできるだけ先の薄い物を使いましょう。
片側全てのツメを外せばパカっと開くようにすると座席が分離します。
無事に分離。

この時点で台車を外すまで車両を裏返しにしてはいけません。
台車部品が取れます。

最後にこの座席を組み付ける前、座席裏側の金属プレートは導電部分ですので
全体的に目の細かいコンパウンドで磨き、最後に無水エタノールやパーツクリーナー等で
脱脂しておくことをお勧めします。

コンパウンドで磨く場合、綿棒で磨くと磨きやすいですよ。
分離しますと、絶縁のためのゴムシートが付いてますので、これを取り除きます。
(車両ロットによっては透明の塩ビ板の場合があります)
ゴムを取り除く際、ちぎれてしまったりしまわないよう気をつけますが、長年走行してきた車両ではこのゴムが硬化しているものもあります。
硬化してますと取り除く際に破れること必須なので、細心の注意。
もし破ってしまったら0.2〜3mm厚のプラ板や塩ビ板で代用できます。
(もちろんゴムシートと似たような材料があればそれでも結構です。要するに何を使っても「絶縁できてるか」が重要なのです)
台車を外します。

画像のように「C」っぽいカタチをしている台車押さえのプラ部品を外します。
この部品は乗っかっているだけですので、精密ドライバーで起こすとあっさり取れます。
台車押さえが取れたら、台車と車体を持ってちょっとこじると車体から台車が外れます。
ドライブシャフトも抜いてしまいましょう。
取れた台車。
台車押さえと共に、車両のどちら側に付いていたか分かるように管理してください。
(マイクロエースは精度がいい加減なだけに、逆になっただけでも不調になる可能性があります)

台車頂上に見えている金属は車輪から集電した電気をモーターへ通すための接触部。
この部分は市販のユニクリーンオイル等で軽く拭いておきます。
床下部品を外します。
画像○を付けた部分、少しだけ工具の入る隙間がありますので、ここを精密ドライバーで軽くこじって床下部品を外します。
外れました。
床下部品も前後がありますのでも、元々付いてた方向を覚えておきます。
いよいよモーターを外します。

まずはモーター押さえのプラ部品を精密ドライバーで抜きます。
この部品も挿さっているだけなので、軽い力で抜けます。
抜けました。
この部品はモーターの片側にしか無く、挿しこむ方向が決まっていますので位置等を覚える必要はありません。無くさないように管理してください。
モーターを抜きます。
画像のように端子側から精密ドライバーを使って起こしていくと外しやすいです。
無事に取り出せました。
モーターに付いているユニバーサルジョイントは再利用しますので壊したり無くしたりしないよう管理してください。
M-5モーターの登場です。

タイプ1からいろいろありますが、タイプ1とタイプ2でしたら問題無く使えるようです。
比較。
上がマイクロエース、下がTOMIX。
画像の見た目以上にTOMIXの仕上げの良さがあります。
新しいモーターからジョイントを引き抜きます。
このパーツは使いませんので、捨ててしまっても結構です。

抜く際は指先でつまんで抜けますが、指先は痛くなりますw
ラジオペンチ等の工具を使って引き抜く場合は必ずシャフトと並行に力を入れてください。
モーターにはスリーブベアリングが使われていますので、その個所にちょっとだけ注油。

写真は私が愛用しているメタルベアリング用オイル。
使うものは人それぞれですので、好きなものを使ってください。
もちろん使わなくても大丈夫です。
モーターのベアリング部分に注油します。
量は本当に、限りなく少なめに。
多くなると回転中に飛び散ります。

モーターの両端部ともに注油ができたらシャフトを軽く手で数回回して浸透させます。
マイクロースのモーターからユニバーサルジョイントを引き抜きます。
こちらも手で抜けますが工具を使っても構いません。
ただしこちらの場合、ユニバーサルジョイントを壊さないよう細心の注意が必要です。

もし壊れてもよーく現物を見てみると直せる壊れ方をする場合がほとんどですが、稀に再起不能な壊れ方をする事もありますので、十分注意してください。
抜いたマイクロエースのユニバーサルジョイントを新しいモーターへ挿しこみます。
手で大丈夫。
ただし力を入れすぎないように。
画像の程度まで挿し込めれば十分。
こちらは悪い例。
シャフトが貫通し、ユニバーサルジョイントの動きを阻害してしまいます。

こんなときは落ち着いてやり直すべし。
ただしユニバーサルジョイントはプラ部品なので、何度も抜き挿ししていると穴が広がってスカスカになってしまいます。
気をつけましょう。
マイクロエースのモーターの側面に貼ってある黒いテープを新しいモーターへ貼り換えます。
これは絶縁のために使用しています。
単なるビニールテープのような気もしないでもありませんが、再利用できるものは使ってしまいましょう。
このように新しいモーターに同じ位置で貼りましょう。
ちなみに左右ありますよ。

ここまででモーターの加工は終了。
台車の分解清掃に移ります。
お次は台車。

上の丸い部品はパッチンで留っていますので、指先でこじ開けると画像のようにウォームギアが分離できます。
台車分解に取りかかります。
画像○部分のツメを精密ドライバーで軽く押しこんで外します。
反対側も同じく、こちら側は小さめの穴ですがツメで引っかかっていますので外します。
このように台車下側の部分が反ったような状態になればツメは外れています。
さらに裏側から見て画像○の部分にもツメがありますので、精密ドライバーを使って軽く押しこみます。

最後に画像○の部分が集電プレートに引っかかっているので集電プレートを軽く広げて外していきます。

ただし、分離するその瞬間は小さいギアが落っこちる可能性がありますので
タオル等を敷いて、もし落ちてもパーツの転がらない状態で分離することをお勧めします。
無事に分離成功。
台車上側(写真右)についているギアは基本的には取れません。
ご覧のように粗悪な中華オイルがベッタリ。
これをキレイに取り除きましょう。
爪楊枝や綿棒などを使うと掃除がラクですよ。
グリスを拭き取ったら新しいグリス。
こちらも定番のセラミックグリス。

注油場所について人それぞれあるようですが、私の場合、台車内部のギア本体には直接塗りません。
軸受部にほんの少し(米粒の1/50以下くらい)です。
グリスを塗ったらギアを元に戻します。
せっかくなので、集電プレートや車輪もしっかりと掃除してやりましょう。
ユニクリーンオイルをお持ちの方はこの時点で車輪と集電プレートに塗布。
さらにトラクションゴムが擦り減ったり劣化している場合には交換。
今回は画像の物で問題ありませんが、KATOの6φでも使えそうですよ。
あとは逆の手順で組み付けますが、小さいギアはくれぐれも無くさないように・・・
台車が組み終わったら手で転がしてみてスムースに動くか確認しましょう。
変な引っかかりや転がしたときに全てのギアが回っていない場合はやり直しです。
ウォームギアもお手入れです。
画像のように手で簡単に分離できますので、○の部分に限りなく少しだけセラミックグリスを塗ります。
○の左側は付け根だけ塗ります。シャフト全体には塗らないでください。

あと、私はこのウォームギア本体にちょっとだけグリスを付けます。
(金属とプラが摩擦する部分だから)
あとは元に戻すワケですが、ウォームギアの上からはめるパーツは「パチン」と音がするまでしっかりと取り付けてください。

こちらも組み付け終わったらシャフトを回してスムースに動くか確認しましょう。
さて、いよいよ元に戻していきます。

まずモーターの端子部分を指で強めに押し込んで画像の程度くらいまで寝かせます。
座席を取り付けた際、導電部分にしっかり接触させるためです。
モーターを車体へ。
なかなかスルっと入りませんが知恵の輪みたいにごにょごにょしてると突然スルっと入りますw
うまいこと入るとこんな感じ。
絶縁シールがズレていないか確認します。
ズレちゃっていたら爪楊枝なんかで引っ掻いてやると動くので適正な位置に移動させます。
モーター押さえパーツを押し込みます。
指でサクっと。余計な力は要りません。
入らなかったら裏表をチェック。
台車側のシャフト。
TOMIXのモーターのシャフトがちょっと長いので、車両によっては無加工で台車を戻すとシャフト全長が長すぎて走行抵抗になるため、車体に組み付ける前に予めシャフトを切断します。
0.5〜1mmくらいで十分。
台車を組み付けます。
台車押さえのパーツも忘れずに入れましょう。
絶縁ゴムシートも戻します。
座席と床下部品をパチッ!とはめます。
この時点で動力チェック。
画像は直線だけですが、カープでの状態も必ず確認しましょう。
(曲がった時にだけ不具合が起こる・・・なんてこともあります)


問題無ければ元に戻して完成♪

これで粗悪なマイクロエース純正モーターからTOMIX製モーターへの移植は完了です。
同時に動力台車のメンテナンスも行っていますので、交換後は見違えて走行フィーリングが向上しているかと。
フライホイール付き車両には及びませんが1世代前のTOMIX車両程度の改善は見られるはずです。

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