F1は昔ダイジェストでTV放送をやっていた頃からちょくちょく見ていましたが、
本格的な観戦は全戦TV放送が始まった頃から。

今は、どちらかと言うと「古き良きF1」の方が特異なスタイルだったり、割り切った設計等
いろいろと惹かれる部分がありますね。
ここでは、その中で個人的お気に入りなF1マシン&エンジンをご紹介。

マシンの部
Ligier JS21 (1983)
見た目が奇抜です。奇抜すぎますwww
1983年と言えば、ネルソン・ピケ2度目のワールドチャンピオンの年、そんな時代にリジェはこのマシンで戦っていました。
ブラバムBT52B同様、燃料タンクの容量を削って(途中の給油が必要なくらいまで少ない搭載量)までも「アロー形」を重点に設計し、前年に起こったビルニューブの死などの様々なアクシデントの根源となっていたグアンドフェクトカーは今年から廃止され、底面が平坦な「フラットボトム」化元年でもあります。
各チームとも色々なアイディアがあり、ある意味マシンのラインナップを見ているだけでも面白い年でもありました。
BT52Bも斬新なマシンでしたが、奇抜さではこちらの方が圧倒的でしょう。
またこのマシンではシトロエンとの共同開発である「ハイドロニューマチック・サスペンション」が組み込まれています。
「ハイドロニューマチック」とはスプリングやアブソーバー本体を持っていない完全油圧式のシステムで、シトロエンでは市販車に採用しているものをF1へフィードバックさせたもの。いわゆる「アクティブサス」の先駆けとも言えるシステムで、走行中にも多少ながら油圧で車高や硬さが調整できたらしいですが、実践ではこのハイドロ系統のトラブルが多く、実を結ぶ事はありませんでしたが、1987年のロータス(こちらもある意味未完成でしたけど)や1992年のウィリアムズ等、この未来には成功も納めた事から、技術・時代的に早過ぎた故のちょっと惜しいマシンでした。
ちなみにエンジンは当時主流のフォード・コスワースDFV V8。

・・・もう20年も前なんですね(汗
Arrows A2 (1979)
リアウィングが・・・・・・あります。
エンジンの後ろ、いつもの場所なんですけど低過ぎて見えないだけです。
グランドエフェクトカー最盛期ですが、これはいろんな意味で「究極」のグランドエフェクトカーかも知れません。何せトップチームが作っているマシンでは無いですからwww
1978年はもうちょっとリアウィングが高い場所にあったんですが、1979年でこの姿。
ちなみにロータスもロータス80でグランドエフェクトカーの極論的形状をしていましたが、理論的にはこのA2の方が圧倒的なダウンフォースを得る事ができたと言われています。

グランドエフェクトカーと言うのは、サイドポンツーン本体を飛行機の羽のような断面にし、サイドスカートを使用して前から後ろまで空気を一気に流し、ある意味「真空のような状態」にしてマシンを路面により密着させようとする考え方。これだけ聞くと現在のような前後ウィングやディフューザー等でダウンフォースを得るより効果的ですが、デメリットとしてはサイドスカートを常時路面に接触させ、より真空状態に近づけるためにサスペンションは無いに等しいくらいの硬さに、また上り坂の頂上や接触等でマシンが浮き上がった際はサイドポンツーン下部へ一度に多量の気流が入り込むため流速を速めて圧縮する事ができず、マシンが裏返しになってしまう等、ドライバー自身がまさに死と隣り合わせになってしまっている事です。やはり何事にも人命は尊く代え難いために1982年をもって廃止(マシン底面をフロントホイールからリアホイールまでを平面化)することになりました。

鬼才ゴードン・マーレイやロリー・バーン達がまだデザイナー駆け出しの頃にこれを作ったトニー・サウスゲートはある意味コーリン・チャップマン同様当時の鬼才ではありましたねw
ちなみに写真でドライブしているのはリカルド・パトレーゼ。
Williams FW12(1988)
この時代に来てハーフカウルと特徴的なラジエター配置は萌えましたwww カッコ良かった。
(中盤戦にはフルカウルにしていますけど)
このマシン、前年まではホンダパワーでマンセル、ピケのチャンピオン争いもしていましたがこの年からはホンダエンジンがマクラーレンに供給されることで代替えのエンジンを探したが、見つからずに非力なジャッドエンジンを搭載することになった。
(非力とは言っても、B級チームでは普通レベルのエンジンでマーチ等でも採用されていました)
基本的には構造を簡素化してメンテナンス性と信頼性を向上させる事がターゲットのようでしたが、案の定当時のジャッドエンジンには付き物だった冷却系統のトラブルでレース中に何度もオーバーヒートによるエンジンブローを起こしていたのを思い出します。それはマンセルの走り方ってのもあったような無かったようなw
ただ唯一このマシンが光ったレースはイギリスGP。エンジンサーキットと言われるシルバーストーンで当時無敵ターボエンジン搭載のマクラーレンMP4/4を追い回し2位になった事は天候(雨でしたね)もありますが、マシンの戦闘力からすれば特筆モノ。ウィリアムズのマシンパッケージの巧さを感じました。
・・・この後、ポルトガル・日本と同じジャッドエンジンを乗せたマーチのイヴァン・カペリが大暴れしたので、ちょっと影が薄くなってしまっていますけどA

そう言えば、この翌年にはルノーエンジンを獲得し、このシャシーを一時的に運用したFW12Bがありましたね。
元々V8エンジンでのシャシーに無理矢理V10を積んで他車よりタイヤ半分は長そうなホイールベースもかなり萌えました。。。
Tyrrell 019(1990)
アンヘドラルウィングの先駆け。ティレルおじさん最高!びっくりした。
チームでは「コルセアウィング」と言ってたそうな。
設計者はハーベイ・ポストレスウェイト。
これは今でも設計の基本として受け継がれています。

ティレルのお約束「資金が無いと速い」はこの頃も基本でした。
前年は前半戦でアルボレートがドライブしてメキシコで3位表彰台とか、金のない時は本気で速い。
逆に言うと金がある時は使い方が上手じゃなくて、マシンもそれなりになってしまう(91年がいい例)。

この年は初戦からピレリタイヤ(1本で2度オイシイ時ですねw)とのマッチングが良く、アメリカ・モナコと市街地コースではアレジがセナを追い回して激しいバトルを展開。かなり興奮。個人的にはミナルディも良かった(笑
非力なフォードで頑張ってましたが、90年も後半に入るとちょっと元気が無くなって(他が速くなった)きました。
このウィング形状でフロントのダウンフォースが不足して極度のアンダーステアに悩まされたそうです。
しかも、翌年にはほとんどのチームでこの「アンヘドラルウィング」が採用される結末も・・・
P34と言い、このウィングと言い・・・F1界へ新たな設計に対する考えに一石を投じる事へのタイヘンさとそのリスク(他チームへの採用)をまざまざと見せつけられたような気がします。

最近ではウィリアムズの「せいうちノーズ」でしょうかw

エンジンの部

JUDD EV V8 (1989〜1991)
シリンダ数 8
バンク角 72度
乾燥重量 125キロ
排気量 3000cc
最高回転数 12500rpm
長さ 555mm
高さ 525mm
615mm
出力 640hp以上
フォードにケンカを売るかの如く低価格エンジンとして1988年に登場。
まぁ先にも後にも信頼性が乏しく、よくエンジンブローしてた。
しかし出力的にはフォードDFRより高く、先代のJUDD CVはウィリアムズでも使用されていました。
熟成できれば十分にうま味のあったエンジンだけに残念。。。
JUDDのティックフォードチューン(5バルブ化)は本戦では一度も見ずに終わってしまった。

YAMAHA OX11A (JUDDO JV) V10 (1996〜1997)
シリンダ数 10
バンク角 72度
乾燥重量 130キロ
排気量 2996cc
最高回転数 16000rpm
長さ 570.25mm
高さ 385mm
511mm
出力 700hp以上
一時は消えたJUDD。気がつけばYAHAMAを手を組んでたw
V10ではあるけど上のEVと比べるとシェイプアップは目ざましい。
シリンダーが1列増えてるのに全長は15mmしか増えてない。
信頼性もそこそこ(実践では悪い方)あり、アロウズに搭載された頃にはデーモン・ヒルがハンガリーGPでトップを快走したのは記憶に新しい。しかし、シェイプアップの代償か、出力が足りず同時期のフォードにも負けてたな・・・。

BMW M12/13 TURBO (1981〜1987)
シリンダ数 4
バンク角 72度
乾燥重量 約170キロ(タービン込)
排気量 1500cc
最高回転数 10500rpm
長さ N/A
高さ N/A
N/A
出力 850hp(1985)
直4です。マルチシリンダーではありませんw
周りのチームがターボでもV6、N.A.ならV8が当然のこの時代にシングルシリンダーのL4を持ってきたBMWはある意味スゴイ。
登場当時はL4独特のストロークの多さに悩み、出力(回転数)を上げられなかったが、徐々に熟成させ最後の1987年ではメガトロンチューンにより880hp以上の高出力を発揮。
最後はアロウズとブラバムにしか載ってませんでしたっけ・・・
Life (Rocchi) W12 (1990)
シリンダ数 12
バンク角 27.5度
乾燥重量 約150キロ
排気量 2995cc
最高回転数 13000rpm
長さ N/A
高さ N/A
N/A
出力 600hp(公称値)
後にも先にも最強の「ネタ」エンジンwww
スバルのフラットみたいに市販車にも活かされてないシロモノ。
設計者的にはV12のマルチシリンダー特性(高回転化)とV8のコンパクトさをドッキングって考えたらしいですが、冷却性や出力、排気処理など根本的な性能が満たされず、W化する事で高重心になり、まるで良いところ無し。
毎グランプリ3週もできずエンジンが逝ってましたね。
これに乗ってたジャコメリも知人に懇願され「しょーがねぇーなー」と仕方なく乗ったとかw
しかも後半戦は中古のJUDD CVに交換しちゃってりして。。。


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