2023年9月12日 長野県上田市にある「無言館」で開かれた
「天満敦子 ヴァイオリンコンサート」を聴きに行きました。
開演まで時間があったので 近くの前山寺でのんびりと過ごしました。
白と赤紫の萩の花が初秋の風に揺れていました。
「無言館」は1997年に窪島誠一郎氏が開設した『戦没画学生慰霊美術館』です。
2021年に頸椎損傷と診断され、手術後もリハビリに励んでいる天満敦子さんは
椅子に座ったままの演奏でしたが、最後の「望郷のバラード」ではすっくと立ち上がり、
全身全霊 文字通り渾身の演奏でした。思わず熱い涙が頬を濡らしました。
この珠玉の調べは 志半ばで戦争に命を奪われた若者たちの
物言わぬ魂にきっと届いたことでしょう。
この曲にこの場所ほど相応しいホールはありません。
十字架の形をしたこの建物の 十字が交わる場所で演奏する
天満敦子さんの姿は神々しいほどでした。
アンコールでは照明が落とされた暗い館内に「月の沙漠」が
静かに流れ、10年前に旅立った夫を偲ぶひとときになりました。

12日は休館日で絵画の鑑賞は出来なかったので、別所温泉に泊まり
13日朝再び「無言館」を訪れました。
以前 千葉県流山市で「無言館展」を観ましたが、やはり「無言館」で
出会う作品たちはその放つ力が違うように感じました。
彼らが制作に使った道具や家族などに宛てた手紙なども
展示されていて、この若者たちの存在をより近くに感じました。
戦後78年を経て 彼らが心の底から願ったに違いない「平和」を
私たちは全力で守らなければいけないと改めて心に誓いました。